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雑記帳

ガンダキーの願い

霊的叡智の宝庫であるインド亜大陸は、古代より、聖なる川によって豊かな歴史が紡がれてきました。
川は、肥沃な大地をもたらすだけでなく、心身の穢れを清める聖地として尊ばれる場所です。
そんな川の中に、ネパールより流れ、偉大なガンジス川に合流するガンダキー川があります。

ガンダキー川は、その支流でヴィシュヌ神の象徴である黒石、シャーラグラーマが採集される聖なる川として崇められます。
このガンダキー川の起源には、私たちの心を清める美しい神話が伝わります。

かつて、ガンダキーと呼ばれる純粋な心を持ったひとりの少女がいました。
ガンダキーの母親はヴェーシャー(遊女)であり、厳しい社会の規範の中で、ガンダキーもまた母親と同じ道を歩む運命にありました。
しかし、ガンダキーの心は常にヴィシュヌ神への深い信仰に満ちていました。

仕事に忠実ですべての人を夫のように受け入れていたガンダキーのもとに、ある時、ひとりの若者がやってきます。
その若者は死をもたらす疫病を患っていたにもかかわらず、ガンダキーはその若者を受け入れました。
しかし、朝になるとその若者は命を落とし、この世を去ってしまいます。
すると、ガンダキーは寡婦として振る舞い、その若者とともに火葬されることを望みます。

火葬が始まろうとした時、若者の身体が突如としてヴィシュヌ神になり変わります。
その若者は、ガンダキーの信心深さに感銘を受けたヴィシュヌ神が、恩寵を与えるために現れていたのでした。
ガンダキーはひれ伏し、ヴィシュヌ神に祈りを捧げます。
そして、私から離れないでほしいと願うと、ガンダキーは聖なる川になり、ヴィシュヌ神はその川に宿るシャーラグラーマになったと伝えられます。

遊女であったガンダキーが穢れを清める象徴を持つ川へと生まれ変わることは、特に大きな意味があります。
それは、過去のいかなる境遇にもかかわらず、誰もが常により純粋な自己へと変わることが可能であるということを伝えています。

川は、生命の流れと精神的な旅の象徴としても捉えられます。
山から海へと流れ出る川のように、私たちの人生もまた、解放への道のり、その究極の真理への探求と見なすことができます。
インドの聖なる地を潤すガンダキー川の神話は、太古の昔から、私たちの心の旅に深い啓示を与え続けています。

(文章:ひるま)

※ガンダキー川の起源には、この他にも異なる神話が伝わります。


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