人生における成功や失敗の経験は、私たちに成長を促す肥沃な土壌となるものです。
しかし、過去の経験は時として心に重くのしかかり、その重みによって無意識のうちに心の扉を閉ざしてしまうことも少なくありません。
その暗闇が新たな喜びを受け入れる妨げとなることも往々にあります。
そんな時、意識的に身体を開いてみると、閉ざされた心の扉を開き、光を受け入れる勇気が芽生えることがあります。
ヨーガのポーズには、その助けとなるパリガーサナの実践があります。
パリガには、サンスクリット語で「門」や「かんぬき」といった意味があります。
身体の側面を大きく伸ばすこのポーズは、その形が門を閉める横木のように見えることから、この名前がつけられたといわれます。
このポーズは身体的なストレッチのためだけでなく、心の扉を開き、内なる深い意識に繋がるための実践としても取り組まれるポーズです。
パリガーサナの実践を通じては、身体の左右に均衡が生まれ、エネルギーの流れがスムーズになることから、身体的・精神的な調和を得ることができるといわれます。
特に、このポーズは胸部を開く動きが中心となるため、その過程で呼吸が深まり、心の座ともいわれるアナーハタ・チャクラが活性化するとされます。
これにより、愛情や共感を育むことができると考えられています。
叙事詩のラーマーヤナでは、羅刹王のラーヴァナによってランカー島へ連れ去られたラーマ神の妻、シーター女神を救うべく、ハヌマーン神が身体を大きく伸ばし、海を越えていく描写があります。
ランカー島に到着したハヌマーン神は門番のランキニーに行く手を阻まれるも、ラーマ神への信愛から生まれる計り知れない強さでランキニーを倒し、ラーヴァナに勝利する道を開きます。
この門を突破する行為は、愛情と勇気によって障壁を打ち破り、精神的な解放を得る象徴でもあります。
パリガーサナの実践は、制限の場所(閉じた門)から解放の場所(開いた門)へと向かう精神的な探求となり得ます。
それは、心を開き、本当の自分に向き合う愛情と勇気を得るための歩みでもあります。
その歩みを促すパリガーサナの実践を学ぶことで、私たちは人生のさまざまな経験を成長の糧として受け入れ、日々を喜びとともに光の中で生きることができるはずです。
(文章:ひるま)
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