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インド音楽

55、第4Chakra:AnahataとRaga

illustration of human chakra, lotus flower

胸にあるとされる「第4のChakra:Anahata」の「Anahata」は、この連載の冒頭で述べました、「宇宙の波動:Anahata-Nada(アナーハタ・ナーダ)」と同義・同語です。

「Anahata-Nada」は、耳に聞こえない波動であり、修行を経た声楽家の声や、楽器が正しく受信すれば、耳に聞こえる「Ahata-Nada(アーハタ・ナーダ)」に変換されるという概念です。すなわち、「Nada」は、Yogaで言うところの「Prana(プラーナ)」とほぼ同義なのです。

おそらく、古くはYogaでも「Prana」ではなく、「Nada」と呼んでいたのであろうことは、その通り道を「Nadi(ナーディ)」と呼ぶことで推測できます。むしろ「Prana」は、関連語「Prayanama(プラーヤーナーマ/呼吸法)」で分かるように、「気」に近い意味合いで、「PranaとNadaのリンクや一体感、同源論」が主流になった以降の概念、もしくは、「Nadaが体内に入った後の意味合い」ではないか、とも推測します。

Anahata-Chakraは、胸、心臓、肺、循環器に関わり、喜怒哀楽の情感や、愛情、とりわけ慈愛、や希望、信頼といった情感を司るとされます。

これは、私たち常人にも分かりやすい概念で、外的要因の影響を受けて、喜怒哀楽が発生し、それに、伴って心拍数や呼吸数が変動するということは誰でも実感していることでしょう。

その他にも、「胸が締め付けられる」とか「胸がキュンとする」などのやや深めの現象もあれば、「心に伝わる」「心に染みる」とか、「腑に落ちる」「心の琴線に触れる」などという深い表現もあります。

関連が深いだろうと思われる古代中国医学でも、同じ様な概念を見ることが出来ますから、VedaやYogaの科学を知らなかった日本人でさえも、目や耳に伝わるもの以外の何らかの「波動」が、直接的に心に伝わる実感や観念を持っていたに違いありません。そして、その受信機は、意外にも「第1Chakra:Sahasrara」ではなく、この「第4Chakra:Anahata」であるということです。

しかし、「Anahata」は受信専門ですから、「Sahasrara」の「交信機能」があって、「大宇宙と小宇宙が一体化」するという仕組みなのでしょう。

つまり、「Anahata」で受け取り、Nadi、経絡、神経、血管を介して全身に行き渡らせた後、「Sahasrara」で宇宙に返答するという仕組みの方が全てを網羅していると考えられ、どこか一部が「受信・返信」をしているというより分かり易いのではないでしょうか。

もちろん呼吸に関しても「皮膚呼吸」が言われますように、あらゆる「気」や「Nada」は私たちの心と体の全てに届き、総てから受け取っているという要素も必ずあると思います。

また、「Anahata」の受信能力だけでは、一喜一憂が激し過ぎる場合が考えられ、その反動(自己防衛)、受信能力を無意識に低下させてしまうこともあり得ると思われます。それ故に、下焦部のChakraが底力で支え、「第4Chakra:Vishuddha」が上に上げるポンプとなり、Sahasraraが、全体のバランスを調整しつつ、発信して行くのではないでしょうか?

これらのことは、科学音楽において、この「第4のChakra:Anahata」と関わる「第4の音:Madhyam」の存在、性質と役割によって裏付けられます。

Madhyamは、その字義通り「真ん中」ですが、「主、中心」というニュアンスとは異なり、単に物理現象的に「個体の真ん中」の意味合いだと思われます。

しかし、循環系にとって、効率的に「気」や「Purana」などをくまなく巡らせるためには必然的な位置であり、役割、存在、そして性質であるわけです。

その意味では、人間は生まれながらにして「不利な構造」、もしくは「愚かな構造」をしているとも言えます。心臓、および「Anahata-Chakra」が体のほぼ中心にあることは四足(昆虫は六で、八の生き物も居る)歩行に於いて最も賢い構造であるとするならば、立ち上がってしまった人間は、上に上げる過度な負担を心臓に強いている訳です。ヨガに横たわるAsanaや倒立がある理由も良く分かるというものです。

また、第4音:Madhyamには、隠れた存在感と性質があります。若干ややっこしい話ですが、まず、物理的に得られる「自然倍音」は、「五度、三度、七度」などであり、圧倒的に「五度」が強力に響きます。ドレミでいうと、「ド(Sadaj)」から五番目に在る「ソ(Pancham)」の音がそれで、それ故「ソ」は「ドの基音」に対して「属音」と呼ばれます。

ところが、絶対音感でもない限り「ド(1音)レ(1音)ミ(半音)ファ」と「ファ(1音)ソ(1音)ラ(半音)シ」の違いは分からないはずです。どちらもその間隔(音程)が「(1音)(1音)(半音)」であるからです。そのため、随分前に述べました「基音と属音を同時に鳴らす伴奏音:基音持続法(英語でDrone)」の「ドとソ(の五度)」も「ファとド(五度)」と区別がつかないはずなのです。

このようにして、「ファ/Madhyam」は、「ド/Sadaj」の「影武者」である、という解釈がなりたつのです。

そして、実際のRagaでも、その伴奏音(基音持続法。インド音楽用語でShrti)」を「ドとソ」ではなく、「ドとファ」を鳴らすべきとされるRagaが幾つかあるのです。

Chakraにおける「原点、基本、底力」は、言う迄もなく「第1Chakra:Muladhara」ですが、これは言わば、「蓄えた体力、気力、神通力、胆力」といった性質のものであり、それに対して、言わば「影武者/代理」将棋の「飛車と角」のような関係にある「第4Chakra:Anahata」では、新鮮に常時摂り込まれる外からの「力/波動」を受け止め、心と体全体に行き渡らせていると考えることが出来るということでではないでしょうか。

(文章:若林 忠宏

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