人々に多くの試練を与える存在として知られるシャニ神(土星)。真っ黒な姿に、力強い眼差しをたずさえるシャニ神は、その試練が与えるあまりの過酷さに、人々から畏怖される存在です。
そんなシャニ神は、ハヌマーン神の帰依者にはいかなる悪影響ももたらさないと約束をしたことから、土星の影響を強く受ける人々にとって、ハヌマーン神への礼拝は欠かすことができません。シャニ神とハヌマーン神の関係についてある言い伝えをご紹介いたします。
魔王ラーヴァナが世界を恐怖に陥れていた時のことでした。ラーヴァナはその力を用いて9惑星を自らの足元に置き、息子が生まれる際には、すべての星を吉兆な配置にしようと企てます。魔王の息子が吉兆な星の配置の下に生まれ、無敵になることを恐れた神々は、強い力を持つシャニ神に助けを懇願します。
シャニ神は聖仙ナーラダの助けと共に、どうにかしてラーヴァナの足元から動き、その企てを阻止しました。しかし、シャニ神はラーヴァナに呪われ、ランカー島の牢屋に閉じ込められてしまいます。
一方で、ラーヴァナに誘拐されたシーター女神を救い出そうと、ランカー島へ向かっていたのがハヌマーン神でした。ハヌマーン神は、どこからともなく聞こえるシャニ神の泣き声に気づき、囚われ場所を見つけシャニ神を助け出そうと試みます。しかし、「私に関わった者には家族をも失う苦難が訪れる」と、シャニ神はハヌマーン神に忠告します。
ブラフマチャリヤとして家族をもたないハヌマーン神は、「私には問題ありません」と気にすることなくシャニ神を助け出しました。それ以来、シャニ神は恩人であるハヌマーン神の帰依者にはどんな悪影響ももたらさないと約束し、ハヌマーンの帰依者はシャニ神の影響は決して受けないと信じられています。
ハヌマーン神はラーマ神の偉大な帰依者であり、主を信じる心によってあらゆる苦難を打ち破る姿が有名です。私たちに厳しい試練を与えると信じられるシャニ神。しかし、どのような苦難であろうと、心からの祈りによって克服することが可能であり、それが私たちを大きく成長させるということを忘れてはなりません。自分自身の抱える問題を客観的に見つめ、より大きな視点で対処する方法が溢れるインドの叡智を、日々に生かしていきたいと感じています。
(文章:ひるま)
参照:http://www.speakingtree.in/blog/why-is-shani-dev-scared-of-lord-hanuman
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