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サンスクリット

शान्तिमन्त्रः śāntimantraḥ シャーンティマントラ

「シャーンティマントラ」として知られる、
世界や生類の安寧を祈るマントラ
lokāḥ samastāḥ sukhino bhavantu
実はこれは一部分で、全体は次のような詩節です。

स्वस्ति प्रजाभ्यः परिपालयन्तां न्यायेन मार्गेण महीं महीशाः ।
svasti prajābhyaḥ paripālayantāṃ nyāyena mārgeṇa mahīṃ mahīśāḥ |
「民に幸あれ。正しい道理に従って地上の王たちは地上を守護したまえ。」

गोब्राह्मणेभ्यः शुभमस्तु नित्यं लोकाः समस्ताः सुखिनो भवन्तु ॥
gobrāhmaṇebhyaḥ śubhamastu nityaṃ lokāḥ samastāḥ sukhino bhavantu ||
「牛や聖者たちに常に恵みがありますように。世界のすべてが幸福でありますように。」

ॐ शान्तिः शान्तिः शान्तिः ॥
oṃ śāntiḥ śāntiḥ śāntiḥ ||
「オーン、シャーンティ、シャーンティ、シャーンティ」

 

【単語の意味と文法の解説】

 

左から、デーヴァナガーリー表記、ローマ字表記、<名詞の語幹形、動詞の語根形 >、語意、(文法的説明)、「訳」、という順番で説明しています。

 

स्वस्ति svasti <svasti-> 幸い、安寧(格変化せず祝詞として使われる。)「幸あれ!」「安寧あれ!」

प्रजाभ्यः prajābhyaḥ <prajā-> 生類、人類、民、子孫(女性名詞、複数形、為格)「民のために」

परिपालयन्ताम् paripālayantām <pari√pal-> 保護する、守る(能動態、3人称、複数、命令)「保護せよ!」

न्यायेन nyāyena <nyāya-> 正しい(形容詞、単数、具格)→次のmārgaを修飾

मार्गेण mārgeṇa <mārga-> 道(男性名詞、単数、具格)「道に沿って」

महीम् mahīm <mahī-> 大地(女性名詞、単数、対格)「大地を」

महीशाः mahīśāḥ < mahī-īśa- > 大地-支配者(男性名詞、複数、主格)「大地の支配者たちは」

गो go <gau-> 牛(女性(または男性)名詞、複合語:神聖な存在としての)「牛と」

ब्राह्मणेभ्यः brāhmaṇebhyaḥ <brāhmaṇa-> ブラーフマナ(ブラーミン)(男性名詞、複数、為格)「ブラーフマナたちのために」

शुभम् śubham <śubha-> 吉祥、恵み(中性名詞、単数、主格)「吉祥が」

अस्तु astu <√as-> ある、いる(能動態、3人称、単数、命令)「あれ!」

नित्यम् nityam <nitya-> いつも(中性形、単数、主格:副詞的に使われる)「常に」

लोकाः lokāḥ <loka-> 世界 (男性名詞、複数、主格)「世界が」

समस्ताः samastāḥ <sam-√as-> まとまった、全部の(形容詞、男性形、複数、主格)「一切の」

सुखिनः sukhinaḥ <sukhin-> 幸福(男性形、複数、主格)「幸福な~」(loka-を修飾する形容詞として)

भवंतु bhavantu <√bhū- > なる、ある(能動態、3人称、複数、命令)「~になれ!」

ॐ om < a-u-m > 聖なる音「オーン」

शान्तिः śāntiḥ <śānti-> 平安(女性名詞、単数、主格:)「平安」

 

様々な日本語訳、英語訳がありますが、
もともとの意味はとてもシンプルです。
現代の日本では、「王」や「牛」といった言葉は
実感がわきにくいかもしれませんが、
マントラの背景にはインドの文化や社会があります。

「牛と聖者(=ブラーフマナ)」という言葉は神聖なものの代表で、
そういう神聖な存在が正しく敬われる状態を
平和な世の中として表現しています。
律法書『マヌ法典』では
国や人民を守る王の役割が重要視されているのも
古代から戦争が多かったこととは無関係ではないでしょう。
「プラジャー प्रजा prajā」は人民、子孫の意味で使われることが多いですが、
生類、被造物という意味もあるので、
今では地球環境や生き物も含めた平和の祈りとも解釈されています。

このマントラと似たような表現はプラーナ聖典にいくつかあるのですが、
正確な出典は不明です。さらに長いヴァージョンもあるようです。
世界の平和を願う人々の気持ちから自然に広まったのかもしれません。
(文章:pRthivii)

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